更新日時 2012年05月22日

私が住んでいる家から100m程の所に、一軒の家があります。
ごく普通の二階造りの一戸建て、洋風の邸宅です。左手の前方は駐車場スペース、右手には花壇があり、玄関口の表札には、御主人の氏名が記されています。
門の両側には垣根がめぐらされていますが、なにぶん他人の家ゆえに、一瞥して通り過ぎていました。
垣根の上からは一本のバラの枝が伸びています。陽気は花が咲くには充分なくらい暖かくなってきました。
風に吹かれてバラの香りがほのかに漂い、道行くひとの微笑みを誘います。
私がこの家に惹かれたのは、このバラの花がきっかけでしたので、花に感謝をする次第です。
ある日、この家の階段の所に、奥様らしき方の姿が見受けられました。また最近になって、その家の駐車場には鉄道の枕木が置かれて、その上にレールが敷かれていることに気がつきました。それにしても、個人の家の玄関に、なぜレールが敷かれているのだろうか、と好奇心をそそられました。
後日、その家の前に大きな物体が運ばれてきたのです。大型トレーラーに乗せられてきた重機は、作業監督の指示のもとに据えつけられて、レールの上には実物の機関車が乗せられました。そして、駐車場一杯のスペースを独占する形となったのです。
 ~中略~
次の機会に通りかかると、機関車の上には大きなシートがかぶせられています。それは風雨から保護する目的であったとしても、いかに御主人がその機関車を宝物のように大切に扱っているかが伺えました。
機関車の車体色は黄色で、動力部は黒色。どうやら自走する機関車のようです。
休日には、作業衣を着て、整備に勤しんでいる御主人の姿が目にとまりました。清掃をすると車体の黄色い色が一層鮮やかになり、足回りは注油されて黒光りしています。午後になると、車体はグレーに塗られていました。その後、再塗装してまた黄色にするとのことです。
また別の日には、小学生とおぼしき息子さんも手伝っておられました。午前中から午後にかけて日がな一日、親子で協力して、この大きな宝物を丹念に整備しているのです。

門の上には、「協三工業製造、10トン車」という説明書がありました。それによれば、
 昭和51年 1976年 協三工業株式会社製造
 番号不明 
 自重10トン
 最大牽引車輌 16両
 1976年 国鉄富山駅配備
 1987年 国鉄民営化に伴い 青海駅に配備
 2008年 青海駅にて引退
 本機関車の主な用途としては、駅構内の除雪、および引込み線の貨車の入替え作業に従事していた。

私は、この機関車が、乗客の障害を取り除き、鉄路上の安全を確保するために、除雪をする程の馬力を持っていること、また10数両もの貨車を牽いて動かしていたことに思いを馳せてみました。そうして、やがて老朽化して、その役割を果たしたわけです。この機関車の購入に際しては、約160万円以上を費やしたということも聞き及びました。
その家のおかげで、私は機関車の効能を知ることができました。さらにまた、御主人の鉄道趣味人としての純粋な情熱に深い感銘を受けたのです。
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