更新日時 2012年11月23日

 弘南鉄道黒石線は、かつて弘南鉄道が運営していた鉄道路線。青森県南津軽郡田舎館村の川部駅から黒石市の黒石駅までを結んでいたが、1998年に廃止された。日本国有鉄道(国鉄)の特定地方交通線で、同じ青森県内の大畑線とともに純民間資本の民営鉄道に転換された数少ない例であった。この路線は軽便鉄道法に基づいて計画されたもので、1912年に黒石軽便線として開業した。1950年に弘南鉄道弘南線が弘南黒石まで延伸されると、旅客は弘南線に流れ、黒石線の乗客は減少していった。1968年10月には弘南鉄道から国鉄東北支社に対し経営委託の申し入れを行っている。1980年に国鉄再建法が成立すると廃止対象の第1次特定地方交通線に指定され、かつてのライバルであった弘南鉄道は、黒石線が第三セクター化などで輸送改善がされると自社路線が打撃を受けると考え、自社線に取り込んで経営を引き継ぐこととなった。その際、国鉄と弘南で別れていた黒石駅は、国鉄黒石駅の直前から弘南黒石駅に渡り線を新設して弘南黒石駅に統合されている。しかし、国鉄時代には五能線からの乗り入れ列車もあった反面、国鉄線との直通運転を行わなかったために川部経由では乗り換えを強いられることになった。運賃も国鉄・弘南の合算となって割高となるなど乗客にとってのメリットは少なく、弘南鉄道自身にとっても自社の弘南線が弘前 - 黒石間を結んでいる上、黒石線のためだけに気動車を保有するという非効率もあって、黒石線を取り巻く状況は国鉄時代よりさらに悪化したといってよい。また、わずか6.2kmという短距離路線であったことも致命的であった。黒石線は、転換特定地方交通線のトップを切って1998年に廃止された。
弘南鉄道 黒石線(廃線)
川部駅 - 前田屋敷駅 - 黒石駅
 @川部駅(かわべえき)は、青森県南津軽郡田舎館村大字川部字上西田にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅である。奥羽本線と五能線が乗り入れており、奥羽本線を所属線としている。五能線は当駅が路線としての終点であるが、快速「深浦」は奥羽本線青森方面へ直通運転を行い、普通列車は全列車が奥羽本線弘前駅発着で運転されている。
 @川部駅構造は単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、計2面3線のホームを持つ地上駅。互いのホームは跨線橋で連絡している。かつては2面4線で、4番線が弘南鉄道黒石線の発着に使用されていたが、黒石線は1998年(平成10年)4月1日に廃止された。現在、4番線だった部分には柵が張られている。弘前駅管理の業務委託駅(ジェイアールアトリス委託)。駅舎には自動券売機(稼働時間:7時30分 - 18時30分)、みどりの窓口(営業時間:7時30分 - 10時30分・11時30分 - 12時45分・14時05分 - 18時30分)、乗車駅証明書発行機、待合室がある。なお、冬季は構内やポイントなどの除雪のための除雪要員2名が配置される。
@4番線側の石黒線川部駅の広大な土地。
A弘南鉄道黒石線の川部駅 - 前田屋敷駅間の廃線跡。川部北部踏切より撮影。
B弘南鉄道黒石線の川部駅 - 前田屋敷駅間の廃線跡。築堤が残る。
 C弘南鉄道黒石線の川部駅 - 前田屋敷駅間の廃線跡。県道136号線を横断する場所の脇に鉄道の設備(BOX)が残る。県道136号線には踏み切り跡の痕跡は無い。
D弘南鉄道黒石線の川部駅 - 前田屋敷駅間の廃線跡。
E弘南鉄道黒石線の川部駅 - 前田屋敷駅間の廃線跡。
 F前田屋敷駅(まえだやしきえき)は、青森県南津軽郡田舎館村にあった弘南鉄道黒石線の駅。黒石線廃止と同時に1998年3月31日の営業をもって廃駅となった。駅構造は1面1線の単式ホーム。ホーム上に簡素な待合室があるだけだった。現在は黒石から川部まで線路跡地を活かした道路が作られたため、取り壊され更地になっている。取り壊される前は駅内に時刻表があるだけだった。
G弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。
H弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。1つ目の橋梁を発見。
H弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。2つ目の橋梁を発見。
 H弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。橋梁の前後の道は橋梁を避けるようにカーブしている。
I弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。
J弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。
K弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。
L弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。築堤跡が残る。
M国鉄黒石線時代の廃線跡。水路の橋台が残る。国鉄時代は橋台の高さから築堤だったようだ。
M国鉄黒石線時代の廃線跡。弘南鉄道黒石線石黒駅への付け替え前の橋台跡。
N国鉄黒石線時代の廃線跡。
O国鉄黒石線時代の廃線跡。この先は住宅が建っている。
 P旧国鉄黒石駅跡。1912年(大正元年)8月15日 国有鉄道黒石軽便線の黒石駅が開業。1984年(昭和59年)11月1日 日本国有鉄道黒石線が弘南鉄道に転換。弘南黒石駅への連絡線を建設して国鉄黒石駅を廃止し、弘南黒石駅に統合。
Q弘南鉄道黒石線の前田屋敷駅 - 黒石駅間の廃線跡。緑町踏切より撮影。
R黒石駅(くろいしえき)は、青森県黒石市にある、弘南鉄道弘南線の駅。
 R黒石駅構造は頭端式1面2線の地上駅。ほとんどの列車は1番線から発車する。黒石線が乗り入れていた時代は2面4線の形態で4番線に発着。3番線は留置線扱いだった。構内には黒石線の車両が使用した検車庫がそのまま残されている。2011年(平成23年)現在、黒石線の車両が使用した給油スタンドは撤去され、駐輪場となっている。またホームの一部もトイレ増設により改良されている。
戻る Copyright (C) 2006-2023 hotetu.net All Rights Reserved
外部から直接リンクで飛んできた方は右ホームページリンクへ http://www.hotetu.net/ 歩鉄の達人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
廃線探索 弘南鉄道黒石線