更新日時 2024年04月07日

 加蘇鉱山軌道:加蘇鉱山は栃木県鹿沼市上久我の馬返地区にあった鉱山である。本鉱山の主要鉱石は、灰色炭マンを主としたマンガン鉱石である。多くの鉱山でも同じようにトロッコ軌道を有し、廃坑後もトロッコ軌道のレールが残る。馬返地区には、「加蘇」「高平」「第3加蘇」の鉱山があり、1930年代から1950年代まで稼行していた。古生層中のチャート、粘板岩を母岩とする脈状の鉱床。
 栃木県鹿沼市上久我の馬返地区の新井川に橋台が残る。対岸に事務所と思われる廃屋も残る。その反対の山側に加蘇鑛山大通の扁額がかかる坑口が有る。この坑口は見落としやすく、前回探した時も行きすぎてしまい発見できなかった。YouTube動画リンク
 加蘇鑛山大通の坑口は柵がかかっていて高さも低く、水没していて鉱水がかなりの量が流れており、水抜き坑だったのではないかと推測する。
 加蘇鑛山大通の坑口より加蘇山神社方面に50mほど山側にコンクリート造りの建物が存在する。これは選鉱場・貯鉱所(ホッパー)で、その下にはワイヤーも放置されていた。冬場でも木々に覆われているので、夏場は道路から発見しにくいと思われる。
選鉱場・貯鉱所脇の苔で覆われた階段を登って行くと、入口が見えた中を覗いてみると・・・
文明人として必要な物でした(笑)足を落としそうなのでこれ以上近寄りませんでした。
選鉱場・貯鉱所の上に坑口発見。坑口のドアが開いています。
中に入ると入口付近はコンクリートで坑道が覆われています。(13:08入坑)
5m〜6mほど入ると素堀の坑道になります。坑道は比較的固い岩石で出来ているようです。
 10mほど入ったぐらいでしょうか?鉱山用トロッコのレールが残っていました。足元は黒いマンガンを含んだ粘土状の泥が数センチ堆積しています。長ぐつは必須ですね。
巻き揚げ機か何かの基礎でしょうか?(13:11)
木造の支保工が崩れた跡を乗り越えると・・・
 そこは3方向に分かれる坑道が有りました。事前情報だと真ん中は行き止まりで、右側は斜坑になっていて、左の坑道は奥行きがある坑道のようです。ここまで感覚的に坑口から20mぐらい?ここを三叉路分岐と呼ぶ。
まずは、真ん中の行き止まりと言われる坑道を探索。(13:13)
マンガンを含んだ粘土状の泥に先人の足跡がいっぱいありました。
10mほど行くと突き当たり、坑道は右に90度直角に曲がります。そこはカンデラ置き場になっています。
 そこからまた10mほど行くと上部に板が設置した竪坑?ここで行き止まり。歩測しようと思いましたがそこまで正確に坑道を調査することもないので、距離はあくまでも感覚です。(13:14)
 再び三叉路分岐の場所まで戻り、次はどちらの坑道を探索しようか考えましたが、斜坑は降りたら登れなくなるのも困るので、左側の坑道を探索することにしました。左写真は左側坑道。右写真は右側斜坑(13:15)
分岐後の左側坑道を進むと、10mほどで、レールが右に分岐しているが、右分岐部は埋められている。
素堀の坑道の上部には架線を止める木製の吊り材が残る。
下部には鉱山軌道用のトロッコレールが残る。
 左の坑道に入ってから100mぐらいだろうか?再び右に分岐している。先に右側の坑道を探索。ここを第2分岐点と呼ぶ(13:17)
上記右写真の右に分岐して、直ぐ右に分岐している坑道は数mで閉塞している。
 上記右写真を10mほど進むとまた二股に分岐。誰が置いたか解らないが一升瓶があり迷路のような坑道の目印になる。ここを一升瓶二股分岐と呼ぼう(笑)(13:18)
一升瓶二股分岐を右に行くと数mで斜坑に突き当たる。
 この斜坑に落ちたら、登ってこられないと思う。恐る恐る覗き込む。フラッシュを焚いて撮影しても奥まで確認出来ない。どれくらい深いのだろうか?(13:20)
加蘇鉱山の斜坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の斜坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の斜坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の斜坑上部のシーブ(2024年04月06日撮影)
一升瓶二股分岐まで戻り今度は左側を探索。(13:20)
一升瓶二股分岐の左側は20mほどで閉塞。(13:21)
再び第2分岐点まで戻り、今度は左側(真っ直ぐ)の坑道を探索。
左側の坑道をひたすら直進。(13:25)
 左側の坑道をひたすら直進すると右側の壁に板があり、坑道は突き当たり、左右に直角に分岐する。ここを板のある第3分岐点と呼ぶ。第2分岐点から板のある第3分岐点まで200m〜300mぐらいだろうか?(13:26)
板のある第3分岐点から左の坑道の探索。(13:26)
板のある第3分岐点から左の坑道を直進。(13:27)
 再び分岐点に到着。ここを第4分岐点と呼ぼう。板のある第3分岐点から第4分岐点まで200mぐらい?下には怪しげな白い物が浮かんでいる。カビだろうか?(13:29)
正面の二ツの坑道は竪坑のようだ。竪坑は水没していて、石を投げ入れたがかなり深いような感じがした。
 左側の坑口から同じ竪坑を覗くとその先にも坑道は続くようだが、さすがにこれを越えて探索する勇気は無い。この坑道内に機関車が存在するという噂があるのだが今回は発見できなかった。多分このような坑道の先にあるのかもしれない。(13:33)
水没竪坑。これは渡れないが・・・(2024年04月06日撮影)
右側の水没竪坑左の山を登って迂回できる(2024年04月06日撮影)
迂回して水没竪坑の反対側に出る(2024年04月06日撮影)
その先はT磁路に分岐するがかなり深い。時期によっては水位のラインが50cmほど上がる。
突き当たり(2024年04月06日撮影)
加蘇鉱山の水没竪坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の水没竪坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の水没竪坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の支保工(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の竪坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の竪坑に降りるために設置されたのか?(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の竪坑(2021年10月10日撮影)
加蘇鉱山の水没坑道。
加蘇鉱山の水没坑道。
加蘇鉱山の水没坑道。
 加蘇鉱山の崩壊した坑道。
水没竪坑の左側は行き止まり。
板のある第3分岐点まで戻り、今度は右側の坑道を探索。(13:36)
 右側の坑道を進む。酸素濃度計のセンサーが壊れているが、その他の一酸化炭素、硫化水素、有機ガスの濃度は0ppmだった。池島炭鉱の坑道内が一酸化炭素濃度20ppmだったことを考えると、やはり炭鉱は危ないですね。この鉱山はマンガン鉱の鉱山なのでその辺は安心です。(酸素濃度計のセンサーの修理を早めにしないといけないですね)(13:37)
 右側の坑道を100mほど進むと崩落箇所があり、上部に鉱脈があったのだろうか、上部にいびつに掘り進んだ跡が有る。その様な場所は崩落が激しい。(13:39)
その崩落箇所を乗り越えると再びレールが残る場所に出る。
その先には20cmほど水没した坑道が続く。
 その先には右に分岐する坑道が有り、その先も水没しているので、長ぐつでは限界があるために、その先の探索は諦めた。
直進部の20cmほど水没している坑道も長ぐつでは限界のためその先の探索を諦めました。(13:41)
第2分岐点まで戻る。(13:47) 三叉路分岐点まで戻る。(13:49)
 今度は三叉路分岐点の一番右側の斜坑をまた戻れるか確認しながら降りて行く。比較的足元は確りしていて、再び登って来られそうな感じだ。斜坑左側は溝になっており鉱水が斜坑に流れ込んでいる。(13:50)
20m〜30mぐらい降りただろうか、斜坑の底部に着いた。(13:52)
車庫の底部の崩落している部分を乗り越えると、そこは再び水没した坑道に出る。(13:53)
2022年に訪れたときには崩落していてそれ以上進めなかった。
 その先に進むと再び水没している竪坑があり、坑道内はトラップがいっぱいだ。この先も探索は無理なので諦めた。この先を探索するにはやはりゴムボートが必要だ。
前回崩落して進めないと思っていたところが入れました。
水没竪坑の先をボートを使用して探検。
中間の陸地から水没竪坑方向を見る。
中間の陸地より先も深いためボートを使用。
ボートで探索したその先は・・・
 水没坑道の左側の坑道の先に光が見える、これは一番最初の加蘇鑛山大通の坑口のようだ。加蘇鑛山大通の坑口はやはり水抜き坑だったようだ。(13:55)
大通洞坑の出口の光が見える。水は腐敗した匂いで臭い。
 探索を終えて再び地上の楽園へと生還した。長ぐつは泥だらけでズボンもマンガン鉱が付着して黒くなり、洗濯は諦めてズボンは廃棄した。約1時間弱の探索だったが水没の竪坑などが見られて充実した探索だった。次回機会が有れば、ゴムボートなどフル装備で臨んで機関車を見つけたい。(13:59)
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出典: 「国土地理院の電子国土Web(地図画像)『鹿沼市』を掲載」
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