更新日時 2010年05月06日

廃線探索 矢部線
 矢部線(やべせん)は、福岡県筑後市の羽犬塚駅と八女郡黒木町(現・八女市)の黒木駅とを結んでいた、日本国有鉄道(国鉄)の鉄道路線(地方交通線)である。1980年の国鉄再建法施行にともない第1次特定地方交通線に指定され、1985年に全線が廃止された。なお、線名の「矢部」とは、予定線の終点とされた八女郡矢部村(現・八女市)のことである。沿線には軍事施設や関連の工場が多かったため、太平洋戦争が激化し、不要不急とされた鉄道路線が次々と休止に追い込まれる中、建設工事が続行され、終戦後の1945年12月にすでに路盤の完成していた羽犬塚から黒木までが開業となった。太平洋戦争が終結してからわずか4か月、日本の鉄道路線では終戦後初めて開通した記念すべき路線である。将来的にはこの線は大分県日田郡中津江村(現在は日田市の一部)の鯛生を経て宮原線の肥後小国までを結ぼうとしていたが結局黒木より先への延伸は成らなかった。1985年の廃止後、線路跡の一部は整備され、福岡県道96号線の一部となっている。また、駅跡地も大半が撤去され、道路の一部や建造物の敷地に姿を変えており、公園として整備された旧筑後福島駅を除いてその面影を見ることができなくなっている。
駅一覧 ※営業キロ数は羽犬塚駅から
羽犬塚駅 (0.0) - 花宗駅 (1.5) - 鵜池駅 (3.9) - 蒲原駅 (5.1) - 筑後福島駅 (6.8) - 今古賀駅 (8.0) - 上妻駅 (9.3) - 山内駅 (11.7) - 北川内駅 (15.2) - 黒木駅 (19.7)
 @羽犬塚駅(はいぬづかえき)は、福岡県筑後市大字山ノ井諏訪ノ前178番地3号に所在する九州旅客鉄道(JR九州)鹿児島本線の駅。快速停車駅であり博多方面からの快速・準快速の約半数は当駅で折り返す。また、一部の特急も停車する。駅名は、開業当時当駅が八女郡羽犬塚村(のち羽犬塚町→筑後市)に所在した事に由来する。駅構造は線路東側に駅舎があり、駅舎側に1面1線の下り本線、駅本屋と反対側に1面2線の待避線・上り本線がある2面3線式の地上駅。駅舎は鉄筋コンクリート造平屋建で自動改札機、自動券売機が設置されているほか、観光案内所やコンビニ、飲食店、お菓子、特産の八女茶の店舗も設置されており、筑後市の中心駅としてだけでなく、八女地区の玄関口としての役割も果たす。九州新幹線の計画ルートがちょうど駅本屋と重るため、在来の駅舎を取り壊して仮駅舎で営業していたが、2009年12月26日より新駅舎での営業を開始した。
@花田橋の所に矢部線の橋台が残る。
A花宗川に架かる堺橋周辺の矢部線廃線跡。
B矢部線は鹿児島本線からここで左カーブしながら、八女市方向へ分岐する。
C国道209号線の下を潜り矢部線は進む。
 D地図上で距離を測ると、羽犬塚駅から花宗駅まで1.5qはこの辺になる。花宗駅(はなむねえき)は、かつて福岡県筑後市大字長浜にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。筑後市の東端部に位置し、矢部線の開通から13年がたった1958年(昭和33年)2月1日に住民の請願を受けて開業した。開業時から駅舎もなく無人駅であった。駅構造は1面1線の単式ホーム。駅舎はなく、ホーム上に待合所があった。
E花宗川に架かる鳥芋田橋。
F八女インター南交差点付近。 G九州自動車道八女インター付近の高速下を潜る。
 H地図上で測るとこの辺が鵜池駅。鵜池駅(うのいけえき)は、かつて福岡県八女市大字鵜池にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。矢部線の開通と同時に開業した駅で、当初は木造駅舎があり駅員も配置されていたが1962年(昭和37年)に無人駅となり駅舎も撤去された。駅構造は単式ホーム1面1線。駅舎は無人化後に撤去され、ホーム上に待合所があった。開業を記念してホーム上にサクラが植樹されていた。
 I地図上で測るとこの辺が蒲原駅。蒲原駅(かまはらえき)は、かつて福岡県八女市大字立野にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。花宗駅・今古賀駅と同時に開業した小さな駅で、開業当初から廃止に至るまで駅舎のない無人駅であった。駅構造は単式ホーム1面1線の一部に待合場所としてベンチと屋根があるのみであった。
 J八女福島のトンネル藤 全長510m。日本で有数の長さを誇る延長510mの藤棚は毎年4月中旬から下旬にかけて優雅な藤の花で満開になります。又、その時期には伝統工芸館周辺で、花祭り、トンネル藤in八女が開催され、会場は藤の花の香りで包まれます。
 J筑後福島駅(ちくごふくしまえき)は、かつて福岡県八女市大字本町にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。矢部線の開通と同時に開業した駅。八女市の中心市街地(旧福島町)の南端部にあり、同市の中心駅で高校生の乗り降りが多かった。矢部線の中心ともなる駅で廃止まで開業時に建てられた木造駅舎が残り、委託駅員が配置されていた。矢部線の他の駅の痕跡が皆無に等しい中、この駅のみは公園として整備がなされ、ホームと線路の一部ならびに踏切跡が残されている。
J鉄道記念公園に設置されている看板より。
 J駅構造は2面3線があり、単式ホームと島式ホームが各1つあったが、駅舎に隣接する単式ホームのみが使用されていた。公園内の倉庫として移設された駅舎には駅名標が掲げられ、公園の藤棚には廃レールが再利用されている。
K畑の下記に旧国鉄の境界杭が残る。
 L国道3号線を潜る周辺には今古賀駅が有った。今古賀駅(いまこがえき)は、かつて福岡県八女市大字馬場にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。花宗駅・蒲原駅と同日に開業した小さな駅で、開業当初から駅舎のない無人駅であった。駅構造は単式ホーム1面1線。駅舎はなく、ホーム上に待合所があった。
 M妻駅(こうづまえき)は、かつて福岡県八女市大字祈祷院にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。駅構造は単式ホーム1面1線。矢部線の開通とともに開業した駅で、当初は駅員が配置され駅舎もあったが、無人化後に取り壊されてホーム上に待合所が置かれるのみとなっていた。駅前には団地があった。駅跡地は団地敷地の一部となっている。
 N山内駅(やまうちえき)は、かつて福岡県八女市山内町にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。八女市の廃止当時の市域の東端部にあった。駅構造は有人駅時代は行違い可能で貨物取扱設備もあったが、隣の北川内駅と同時に無人化した後は1面1線の単式ホームに縮小され、駅舎も撤去されてホーム上に待合所があるだけとなっていた。駅設備縮小で駅前のスペースが広がったため、公民館が建てられたりゲートボール場として使われたりしていた。駅跡地は八女市東公民館となっている。
N矢部線山内駅 - 北川内駅間の廃線跡。 O矢部線山内駅 - 北川内駅間の廃線跡。
P矢部線山内駅 - 北川内駅間の廃線跡。 Q矢部線山内駅 - 北川内駅間の廃線跡。
Q県道52号線の星野川を渡る現原橋直前に左へ折れると矢部線の廃線跡が残る。
 Qパイロンが置いてある。これより先へは入るなの暗示か?藪が凄くてこれ以上先へは進めない。あきらめて反対側へ廻り探索を続行する。
R隧道までの道のりは藪が凄いが、反対側からは容易にアクセス出来る。
R隧道の山内駅側。
R隧道の北川内駅側。
R隧道を出て直ぐに、小さな小川とコンクリートの橋梁が有る。
S山内駅 - 北川内駅間の矢部線の廃線跡。 Sキロポストが残るが縦に14qと書かれている?
S山内駅 - 北川内駅間の矢部線の廃線跡。 S矢部線の脇には石仏が・・・
S山内駅 - 北川内駅間の矢部線の橋台が残る。
S山内駅 - 北川内駅間の築堤(橋台)の上から撮影。
@再び星野川を渡る橋台跡が残る。
@山内駅 - 北川内駅間の矢部線の廃線跡。
 A北川内駅(きたかわちえき)は、かつて福岡県八女郡上陽町大字北川内(現八女市上陽町西川内)にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。矢部線の開通とともに開業した駅で、上陽町の中心地区の西端部にあり、同町唯一の駅であった。駅構造は1面1線の単式ホーム。駅舎はなく、ホーム上に待合所があった。駅跡地は上陽町地域福祉センターとなっている。また、駅近くに旧北川内隧道の入口が残されている。
Aホタルと石橋の里 上陽町。
B旧北川内隧道の手前は築堤になっていた。
B旧北川内隧道からの湧水でホタルの幼虫を育てている。
C旧北川内隧道の反対側。
C旧北川内隧道の反対側も塞がれている。
C隧道の下の穴から撮影。 C隧道を出たところは切り通しに。
C旧北川内隧道を過ぎると市道の高架下を潜る。
D矢部線の廃線跡は左カーブして隧道が有る方向へ。
 E隧道古酒 須々許里 お酒の貯蔵に隧道が使用されているようだ。福岡県八女市株式会社高橋商店(繁枡)の純米古酒「須々許里(すすこり)」。「隧道熟成」―廃線のトンネルで5年熟成。
F隧道の旧黒木駅側。古久蔵と銘板が書かれている。
F隧道を過ぎると矢部線の廃線跡が続く。
 G黒木駅(くろきえき)は、かつて福岡県八女郡黒木町(現・八女市)大字今にあった、日本国有鉄道(国鉄)矢部線の駅(廃駅)である。開業時の告示による駅名の読みは、町名と同じ「くろぎ」であったが、それ以後の『停車場一覧』では一貫して「くろき」であった。駅構造は廃止時点では1面1線の単式ホームと駅舎のみがあった。
 G駅舎・ホーム等は撤去され、交差点となっている。近くにC11形蒸気機関車(61号機)が駅名標と共に静態で保存されている。昭和20年12月熊本県熊本機関区配属。矢部線開通にともない主に貨車を牽引。昭和49年4月矢部線を最後に退役。昭和49年11月国鉄より黒木町が借用。静態保存。平成21年4月JR九州より黒木町に譲渡。8月に現在地に静態保存。生涯走行距離1,622,416q。
 G矢部線の終着駅で、駅所在地は黒木町の中心地区の北端部にあたり、廃止まで駅舎が残り委託駅員も配置されていた。この駅から先、線名の由来となった矢部村方面への延伸は成らなかった。
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