更新日時 2024年05月08日

 妖刀歩鉄の短刀製作体験:岐阜県の富加町鍛冶田で刀鍛冶が日本刀作りの技術を伝えながら1日かけて刃渡り30cm未満の短刀製作を体験出来る。体験では、炭切り、玉へし、積み沸かし、鍛錬、素延べ、火作り、土置き、焼き入れ、鍛治研ぎを行い、後日に登録・仕上げ研ぎで3〜6か月を要し自宅に登録証と一緒に配送される。※銃砲刀剣類所持等取締法により、銘は刀鍛冶が刀匠名をが必要だが、体験者の銘も一緒に彫ることは可能で体験者名「歩鉄」を依頼した。短刀製作体験は基本料22万円で、オプションのハバキ、白鞘追加で7万円。合計29万円。その他のオプションで脇差し(小)10万円。脇差し(大)20万円。刀コース38万円。太刀48万円も選択できる。
最初に色々説明を受けます。YouTube動画リンク
刃物用の椿油。同じ物を買いました。
鍛冶場です。冬場は寒いですが炉の付近は暖かいです。夏場は地獄?
鍛冶場の壁に掲げられている賞状。
刀剣製作用の松炭です。
炭切作業。4kgの炭箱を十数箱程使用するみたいです。1振り製作で炭代3万円ほど?
藁を焼いて藁灰を造ります。
 刀剣製作用の日刀保たたらの玉鋼です。たたら製鉄で使う砂鉄と近代製鉄で使われる鉄鉱石の素材を比べると、日本の砂鉄は磁石に付き、鉄鉱石は磁石付か無い。加工時に砂鉄から作った玉鋼は低温処理のため叩くと伸びる性質があり鉄鉱石には無い。日本刀では折り返し鍛錬という、鋼を熱して打ち延ばす作業を繰り返し行い、更に鋼の中から不純物を取り除いていく。しかし鍛伸性のない鉄鉱石ではこの作業を行うことができ無い。たたら製鉄では炭を使い比較的低温(1200.〜1300℃位)で熱し玉鋼という固体に、不純物は液体となり分離できるため取り除けます。近代製鉄ではコークスを使い2000℃位で液体にするため不純物も混じったままとなる。日刀保たたら:公益財団法人日本美術刀剣保存協会が直接に運営するたたらであり、本協会の略称を冠して、「日刀保たたら」と呼称。
玉鋼の品質の違いです。一番良い玉鋼は右側です。固くて重い。1kg1万円程するそうです。
1振りの日本刀を作るのに玉鋼を10〜15kg必要。玉鋼だけで1振り約十数万円の材料費が必要。
 水減し:熱した玉鋼を鎚で叩き、薄い扁平な板をつくる。これを水に入れて急冷すると、余分な炭素が入っている部分が剥落ちる。これを「水減し」または「水圧し」という。ここまでがへし作業と呼ばれる地金づくり。
全て炭で行うとコスト及び時間がかかるのでガス炉を使用します。
玉へし:日本刀の材料である玉鋼を大槌を振るい潰します。
潰した玉へしを水に漬け冷却します。
潰した玉へしを水に漬け冷却します。
冷却した玉へし。
 今回は刀剣造りの体験なので1本分の量の刀剣を造る玉へしを造る時間が無いので事前に製作された玉へしも使用します。
積み沸かし:潰した鋼をテコ(棒)に積んで頂き、炭を熱した中に入れ、ふいごで風を送ります。
潰した鋼をテコ(棒)に積む。
潰した鋼をテコ(棒)に積んだ後に濡らした和紙で包み崩れを防止。
周囲に藁灰を付けさらに粘土汁をかけて火床に入れ表面の粘土が溶けるくらい加熱する。
炭を使用した火床と電動のハンマー。鞴も有りますが電動の送風機も有ります。
炭を熱した中に入れ、ふいご(送風機)で風を送ります。
 藁灰と粘土の珪酸分が加熱によってガラス様に熔解して鋼の接着面の表面を覆い、鉄の酸化皮膜形成を阻害することで鋼の焼減りすることを防ぐ。鍛接の際にも融けたガラス状になった珪酸分は叩き出されて鋼の外に飛び散り、鋼間の結晶同士は圧着される。
熱した玉鋼を鍛錬(叩いて延ばします)
鍛錬は電動ハンマーを使用しますが昔は大槌で叩いていたので大変です。
 熱した玉鋼を切れ目を入れて折り返す作業をします。心金で7回、棟金で9回、刃金では15回、側金では12回程度の折り返しが行なわれる。叩き延ばした鋼を折り返しながら鍛錬を重ねることで、硫黄などの不純物や余分な炭素、非金属介在物を追い出し、数千層にも及ぶ均質で強靭な鋼へと仕上がっていく。
折り返した玉鋼を再び熱し、この作業を繰り返します。
鞴の所に付いている数珠は鍛錬の回数を記録する物です。
素延べ:鍛錬後の塊を叩いて延ばし、刀の寸法にしていきます。
素延べ作業の時はガス釜を使用します。
 刀の形に打ち延ばす「素延べ」を行い、先端を3角に切り落とすがそのままでは刃先側に棟金や心金が現れるため、とがった先を背の側に打ち曲げて硬い刃金だけが刃の側に来るようにする。ここでの姿が最終的な日本刀の完成形を決めるため、慎重に小槌で叩き形を整えていく。火造り:刀身の棟は三角になるように叩いて、刃の側は薄くなるように叩き延ばす。茎の棟を叩いて丸みを付け、最後に「鎬地」を叩いて姿を整える。刀身全体をあずき色まで低く加熱し除冷する。
寸法測定。短刀は30cm未満、脇差しは、60cm未満、打刀は60cm以上、太刀は80cm前後。
銛(せん:銑とも)と呼ばれる鉄を削る押切りの刃のような大振りの手押しかんなで凹凸を削る。
かんなの削り跡をベルトサンダーで砥ぎ落とす「生砥ぎ(なまとぎ)」を行なう。
生砥ぎされた短刀。
 土置き:加熱した刀身を水などで急激に冷やす「焼入れ」の準備として、平地用、刃紋用(刃文用)、鎬地用の3種類の焼場土(やきばつち)を刀身に盛る「土置き」を行なう。一般的には平地に平地用の焼場土を均一に薄く塗り、刃紋に筆で刃紋用焼場土を描く。最後に刃紋から棟までを鎬地用焼場土を厚く盛る。鎬地の焼場土を厚くすることで、焼入れでの急冷時に刃側はすばやく冷やされ十分に焼きが入り、棟の側は比較的緩慢に冷えるために焼きはそれほど入らなくなる。逆に刃紋の部分だけに土を置き、土を置いた部分の気泡の発生を抑えて刃先だけを急冷し、しのぎの部分は自然発生する気泡で緩慢に冷却する方法や、全く土を置かずに刃の薄くなった部分が先に冷えること利用した焼き入れの仕方なども存在する。焼きによって容積が膨張しながら硬くなり、日本刀独特の刃側が出っ張った湾曲を生む。棟の側は膨張が少なく硬度より靭性に富んだ鋼となり硬いが脆い刃側の鋼を支える機能を担う。
刃文の模様を付けていきます。
土置きした物を炭火で乾かします。
土置きし乾かした短刀。
 焼入れ:通常、刀匠は焼入れの時には作業場の照明を暗くして、鋼の温度をその光加減で判断する。土置きした刀身を火床に深く入れ、先から元まで全体をむらなく800℃程度にまで加熱する。加熱の温度は最も重要であり、細心の注意を払って最適の加熱状態を見極め、一気に刀身を水槽に沈め急冷する。刀身は前述の通り水の中で反りを生じ、十分な冷却の後に引き上げられ、ベルトサンダーで研がれ焼刃が確認される。焼入れにより、刀の表面にはマルテンサイトと呼ばれる非常に固い組織が現れる。マルテンサイトの入り方によって、肉眼で地鉄の表面に刃文が丸い粒子状に見えるものを錵(にえ)または沸(にえ)と呼び、1つ1つの粒子が見分けられず細かい白い線状に見えるものを匂(におい)と区別する。
焼入れで使用する水槽。一気に刀身を水槽に沈め急冷する。
仕上げ研ぎ:形を修正し茎(なかご)を削ります
 ベルトサンダーで研がれ焼刃を確認。短刀製作体験はここまでで、後日に登録・仕上げ研ぎ、オプションの白鞘を製作して、納品まで3〜6ヶ月を要し自宅に登録証と一緒に配送される。
短刀歩鉄が5月8日に納品されました。
短刀歩鉄。
短刀歩鉄。
短刀歩鉄の刃文。
茎(なかご)に歩鉄の銘が入っています。
令和6年春の銘が刻まれている。
白鞘から柄及び鍔、鮫研ぎ肌の鞘に交換。
白鞘から柄及び鍔、鮫研ぎ肌の鞘に交換。
白鞘から柄及び鍔、鮫研ぎ肌の鞘に交換。
白鞘から柄及び鍔、鮫研ぎ肌の鞘に交換。
白鞘から柄及び鍔、鮫研ぎ肌の鞘に交換。
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出典: 「国土地理院の電子国土Web(地図画像)『富田町』を掲載」
妖刀歩鉄の短刀製作体験